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ボルグとオールラウンダー

ちょっと前にテニスネタでこんなブクマがありました。

ブコメナダル登場まで全仏とウィンブルドンの同時制覇は無かったかのようなコメントがあったので「ボルグの立場は…?」というコメントを返しておいたのだけど。

最近のテニスファン(特に錦織から入った人)だとボルグのことを全く知らない可能性があるので、ちょっと書いてみようと思った次第。

とはいえ自分もリアルタイムでボルグの現役時代を観たわけではないので歴史の世界ではある。なにせ四大大会での優勝は全て自分が生まれる前の出来事だ。ただ一時代を築いた選手だけあって現役時代の映像は比較的容易に観ることが出来る。↓は有名な1980年のウィンブルドン決勝、ボルグはロン毛の方だ。

そもそもオールラウンダーとは 

テニス界におけるオールラウンダーという言葉は結構微妙な言葉だと思っている。言葉のイメージからは「どのコートでも強い選手」とも「何でもできる選手」とも取れる。

90年代最強選手であるサンプラスは後者のタイプだろう。彼はクレーコートが明らかに苦手で、全仏オープンでの最高成績は準決勝進出が1回だけ。アメリカ人はクレーを苦手とする選手が多いが、彼の場合は遺伝性の貧血持ちということだったので、体質的にもロングラリーが厳しかったのかもしれないと思っている(それでもサンプラスはローマMSで優勝しているだけすごい。アメリカの先輩であるコナーズやマッケンローは、クレー勝率こそサンプラスより高いもの、ヨーロッパでのクレータイトルは一つも無い)。一方で当時トップクラスのビッグサーブを持ち、前に出ればボレーはもちろん強烈なスマッシュを持ち、後ろからのストロークも一発の威力は高い、と何をやらせてもハイレベルでオールラウンダーと呼ばれるだけのことはあった。

全盛期のヒューイットもオールラウンダーと呼ばれてはいたけど、自分の中ではベースライナーもしくはカウンターパンチャーだった。クレーは苦手だし、ネットプレーは申し訳程度の印象が強かった。ぶっちゃけ当時思ったのは「単に強い選手をオールラウンダーと呼んでるんじゃね?」。ただヒューイットが天下を取ったころはサンプラスの衰えが顕著になってきていたので、言葉の意味が再定義される時期だったのかもしれない。

現代のオールラウンダー

現代のオールラウンダーとしてはフェデラーナダルが双璧だろう。この二人はそれぞれ芝の王者、クレーキングなどと言われるが、ナダルのクレーでの連勝記録を止めたのがフェデラーフェデラーの芝での連勝記録を止めたのがナダルという関係でもある。ブコメではナダルが推されていたけど、自分はオールラウンド度ではフェデラーの方が上じゃないかと思う。一つは上に挙げた「何でもできる」の部分。最近のフェデラーはサーブ&ボレーを中心にプレースタイルを再構築してるし、彼は元々ネットプレーもソツなくこなしていた。ナダルはチャンスがあれば前に出るというスタンスで、サーブ&ボレーは本当に奇襲レベル、まず見ない。前に出てからでも勝負できるという点ではフェデラーの方が上だろう。

もう一つナダルについて引っかかっているのは「クレーコート以外の大会連覇がない」という点。フェデラーは2000年代で姿を消したカーペット以外、どのサーフェスでも連覇を経験している。過去のBIG4、コナーズ、ボルグ、マッケンロー、レンドルは調べた限り芝、ハード、クレー、カーペットのいずれでも連覇を経験しているようだ。2013年のナダルハードコートでも圧倒的な強さを見せて勝ちまくったので、どこかで連覇できるだろうと思っていたのだが、2014年も達成できなかった。この辺り、自分の中ではどうしてもオールラウンダーというより「他のサーフェスでも強い史上最強のクレーコーター」というイメージの方が強くなってしまう。

ボルグという選手

ボルグという選手について。とりあえず実績とかはwikipediaを。もしくはざっくりしたところは以前ニコニコ大百科にまとめたのでそちらでも。ちなみにベイビーステップ32巻「#304 人の歴史」で浅野選手の回想に出てくる最初の選手は、風貌からして恐らく彼がモデルだと思う。

ビョルン・ボルグ - Wikipedia

ビヨン・ボルグとは (ビヨンボルグとは) [単語記事] - ニコニコ大百科

 彼はウィンブルドン5連覇という芝の実績を持っているが、技術解説などに使われる場合はほぼ確実にストロークのトップスピンが解説される。全仏オープンでも4連覇含む6勝を挙げており、いずれもナダルが登場するまでの記録だった(ついでにクレーの通算マッチ勝率もナダル以前の歴代最高である)。本来はナダル寄りのクレーコーターなのだ。↓は全仏オープンの映像だが、上に貼ったウィンブルドンの映像と見比べると、ステイバックが多いのが判るだろう。

なぜ彼がウィンブルドンでサーブ&ボレーを多用したかはブクマ記事の通り、用具の貧弱さが大きいと思う。現代なら強烈なパッシングの嵐になるが、当時のラケットでは現代ほどスピードが出ないので簡単には抜けない。これだけでも今と比べるとリスクが小さい。当時の試合映像を見ているとネットに詰めた相手にロブで対抗する場面が多いのも、パッシングで抜けなかったからだろう。加えて元記事で触れていない話を出すと、最近はラリーが繋がるように芝やハードコートが低速化しているといわれる。裏を返せば昔の高速サーフェスは今以上にボレーが有効だったということでもある。 

ボルグの凄さは基本はクレー寄りのストローカーでありながら芝ではサーブ&ボレーも使い、それでどちらも勝ってしまっていることだ。1978年から1980は3年連続で全仏とウィンブルドンの同時制覇を達成している。芝と土という相反するコートで強く、前に出ても後ろからでも戦えるというのは、かなりオールラウンダーっぽいのではないだろうか。

彼の成績を調べてみるとウィンブルドン以外で芝の優勝は一つしかない。でも当時多かったインドアのカーペットでも20回以上優勝しているので、芝に限らず速いコートでも強かったのは確実。比較的苦手と言えそうなのはハードコートだけど、サンプラスのクレーほどの穴にはなっていない。全米オープンは70年代に芝→クレー→ハードとサーフェスを変えていったが、準優勝4回中3回はハードコート時代だった。現代なら芝と土の中間的なサーフェスとして扱われそうなハードコートが苦手なのは面白い。高く弾むバウンドがダメだったんだろうか。

もし生まれた時代が違ったら

時代ごとの環境の違いは確実に影響している。もしボルグが今現役だったらウィンブルドンでもサーブ&ボレーを使わず、それこそナダルのような形で勝っていたのかもしれない。逆にナダルがボルグの時代に現役だったら?少なくともナダルの今のスタイルを当時の用具で実現できるとは思えない。ボルグはストローカーとしても実績のある選手なので現代でも通用しそうだけど、ナダルはサーブ&ボレーを駆使して勝ったわけではないので、どうしても昔のウィンブルドンでは厳しかったのではないかと思ってしまう。この辺もナダルよりボルグを推す理由。

レーバーが年間グランドスラムを達成してからアガシがキャリアスラムを達成するまで調べてみたけど、全仏とウィンブルドンの同年制覇はボルグのみ、両方勝った選手も他にはヤン・コデシュしかいなかった。以下に挙げるとおり、オープン化後にキャリアグランドスラムまであと一つ届かなかった選手は例外なく全仏かウィンブルドンのどちらかが残っていたことは覚えておくべきだろう。当時この二つを両方獲るのは名だたる大選手でも至難の業だったのだ。

全仏のみ逃した選手:アッシュ、ニューカム、コナーズ、エドベリ、ベッカー、サンプラス

ウィンブルドンのみ逃した選手:ローズウォール、ビラス、レンドル、ビランデル

 


ボルグの試合はDVDも比較的入手しやすい。ただし試合の映像はネットで探せば恐らくフルで観られるので、コレクション目的と割り切った方が良いかも。今と比べるとスピードが遅すぎて残念に思えるかもしれないけど、レギュレーションの違いなども垣間見れるのでプロテニスの歴史に興味のある方はぜひ観るべき。ゲルライティスとの77年セミファイナルのみ北米リージョンで他は全てリージョンフリー。以前はもっと手頃な値段だったのが最近品薄なのか高騰してきているので、これから購入する場合は楽天YAHOO!ショッピングなどとも比較すると良いと思う。

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